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 泣きながら山手線を1周してしまった。高校への通学途中、座席の一番端で人目もはばからず。2度目の池袋駅で降りたが、どうしても学校に足が向かず、本屋などで気を紛らわせて家に帰ってしまった。

  • 甲子園で夢破れた球児が目指した米名門大 be動詞からの勉強法は

 ハーバード大卒のプロアイスホッケー選手、佐野月咲(るなさ)さん(26)は、このときの出来事をきっかけに、海外大学への進学を決意することになる。筑波大付属高2年の冬、18歳以下(U18)日本代表から落選したのを知らされた日だった。

大学時代、アイスホッケー部のチームメートと佐野月咲(後列右端)=本人提供

 珍しさに引かれて5歳から競技を始め、高校から東京都内の強豪チーム「SEIBUプリンセスラビッツ」に入った。高1で初めてU18日本代表に選ばれ、U18世界選手権を経験した。

 翌年はU18でさらに活躍し、その後、日本代表入りして五輪に出場する――。そんな夢を描いて着実に走り出していたつもりだったのに、落選で全てを絶たれたような気がした。

 「どうすればもっと上にいけるのか」。思い悩んでいた時、母親が「すごく強いらしい」とYouTubeでハーバード大アイスホッケー部の映像を見せてくれた。ハーバード大は、全米大学体育協会(NCAA)1部に所属し、全米女子大学選手権で準優勝4度を誇る強豪だ。父親からも「海外いけるんじゃない?」と提案された。娘を思って、両親なりに調べてくれていたらしい。

 「ハーバード大は学問だけじゃなく、スポーツも強いんだ」と初めて知った。これまで留学にも全く興味はなく、国内の大学に進む準備もしていたが、一気に海外に気持ちが向いた。

「枠は埋まっている」

 高3の春休みと7月に渡米して、いくつかの大学を訪問。現役選手やリンクの雰囲気を味わい、ヘッドコーチらとも話をして、やはり一番ひかれたのがハーバード大だった。

 ハーバード大のヘッドコーチに入部の意志を直接伝えると、「スカウトで入部の枠は埋まっている」と言われた。でも、諦められなかった。「もし自力で入学できたらチームに入れてもらえる?」。食い下がると、「いいよ」と承諾してもらえた。

 英語はもともと好きで得意な方だったが、海外進学を決めてから、一気に英語に触れる機会を増やした。

 入学に必要なTOEFLやSAT(大学進学適性試験)の勉強に加え、外資系企業に勤務する父親との会話はすべて英語に。通学中は常に単語を覚えているか、問題集の付録の英語音源を聞いているか。エッセーは海外受験専門の塾に通って、書いては添削してもらった。

 また、米国のテレビ映画「ハイスクール・ミュージカル」を、英語字幕から字幕無しでも分かるようになるまで繰り返し見た。内容も面白くて好きだったし、英語の題材としてもぴったりだった。この間、ハーバード大アイスホッケー部の試合の配信を毎週楽しんで見て、モチベーションを維持し続けた。

 TOEFLの点数はトップ大学で必要とされる100点を超え、エッセーの提出や面接などを経て合格をつかんだ。そして、念願だったハーバード大のアイスホッケー部にも無事入ることができた。

 だが、本当に大変なのはここからだった。

願いがかなって飛び込んだハーバード大。アイスホッケー部にアジア出身は佐野さんだけでした。「一人だけ何もかもが違う」。チームメートの佐野さんを見る目を変えたのは、その態度と行動でした。

 いくら日本で英語に慣れたつ…

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